声でイルカの数を勘定する〜音響観測門によるスナメリの回遊モニタリング〜
水産情報工学部
研究目的
・イルカの自動的な個体数観測技術を確立する。
・経済発展著しい中国の揚子江に生息するイルカの動態を、最新の音響技術を用いて観測し、その保全に役立てる。
・スナメリの母子と音響観測門概念図。イルカの声を自動的に記録する装置は、鉄パイプを組み合わせた三脚様の固定具のなかに取り付け(図左上写真の中央の黄色い物体)、水底に沈めた。

研究成果
・イルカがいることだけでなく、その最低個体数を簡便に観測する手法が開発された。下図の桃色の矢印は、4頭のイルカが湖の下流側から上流側に移動した様子を示している。図の縦軸は、イルカの相対方位(図ではステレオマイクロホンで計測された時間差で表している)。
・揚子江と中国最大の淡水湖であるポーヤン湖にいる2つの個体群間で、日常的な移動が行われている可能性が示された。
・長寿命高感度型に改良された音響データロガーは、24時間以上連続で300mまでの範囲内のスナメリの個体数と遊泳方向を計測できることが確認された。

波及効果
・これまで困難であった目視によるイルカ類(小型ハクジラ類)の頭数推定が、簡単かつ自動で行うことが出来るようになった。小型鯨類の管理に役立てることが出来る技術である。
・世界でもっとも絶滅が危惧される水生哺乳類であるヨウスコウカワイルカの観測に、本技術が応用可能である。
・経済発展の代償としての生態系破壊がすすむ中国揚子江でスナメリの動態を把握し、環境の早期警戒指標として用いることができる。
発表文献
Wang, K. Wang, D.,
Akamatsu, T., Li, S. and Xiao, J. (2005), A passive acoustical
monitoring method applied to observation and group size estimation of finless
porpoises, J. Acoust. Soc. Am. 118(2), 1180-1185.
本研究は、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」(若手研究者支援型)の援助をうけて実施された。
研究協力 中国科学院水生生物研究所
(行動生態情報工学研究室 赤松友成)
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