A new model of growth back-calculation incorporating age effect based on otoliths
Morita, K. & Matsuishi, T. (2001) Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences, 58: 1805-1811.

[目的]

バックカリキュレーション法とは、魚類の耳石(または鱗などの硬組織)に刻まれる年輪の間隔を測定することにより、その個体の過去の体長を推定する方法である。バックカリキュレーション法は、魚類の生態学的研究において強力なツールであり、多くの実験的研究で用いられてきた。 これまでに多様なバックカリキュレーション法が提案されてきているが、すべて体成長と耳石成長が比例関係にあることを仮定している。しかし、耳石は体成長がないときでも成長することが知られており(年齢効果or成長効果)、従来のバックカリキュレーション法の仮定と矛盾している。本研究では、年齢効果を考慮した新バックカリキュレーション法を提案する。さらに、標識放流により過去の体長(正解)が得られているイワナの耳石を用いて、新バックカリキュレーション法の妥当性を検証した。

[モデル]

耳石は、体成長と年齢(時間)に依存して成長すると仮定する。耳石径Oは、
(1) O = α + βL + γt
と表わすことができる。ここでLは体長、tは年齢、α、β、γは係数である。ある時期に平均値よりX%大きい耳石を持つ個体は、生涯を通して平均値よりX%大きい耳石を持つと仮定すると、以下のバックカリキュレーション式が得られる。
(2) LT = -(α/β) + (Ot/OT){LT + (α/β) + (γ/β)T} - (γ/β)t
ここで、Tは捕獲時の年齢、tは体長を推定するときの年齢、OTは耳石の外径、Otは体長を推定する年輪までの耳石径、LTは捕獲時の体長、Ltはt齢時の推定体長である。α、β、γは式1の係数であり、重回帰分析により求めることができる。

[結果]

従来のバックカリキュレーション法と新バックカリキュレーション法の両方とも、過去の体長をほぼ正確に推定することができた。しかし、従来のバックカリキュレーション法では、成長の悪い個体を過小推定、成長の良い個体を過大推定するというバイアスが認められた。一方、我々が開発した新バックカリキュレーション法では、そのようなバイアスが存在しなかった。この成長率に依存するバイアスは年齢効果または成長効果によるものと考えられた。