Latitudinal variation in the growth and maturation of masu salmon (Oncorhynchus masou) parr
サクラマス幼魚の成長および成熟の緯度的変異
Kentaro Morita and Toru Nagasawa
Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences, 67: 955-965.
生活史形質の緯度的変化は、環境勾配に対する可塑的および進化的応答を調べるために、多くの生物で調べられてきた。本研究では、ヤマメの成長と成熟の緯度的変化を調べるため、北緯36.6〜45.4度を流れる12河川において野外調査を行った。2007〜2008年の繁殖期(9-10月)に標本採集を行い、採集された1,932個体について、尾叉長、体重、内臓除去重量の測定、性成熟の判別、および耳石と鱗による年齢査定を行った。また、2パス除去法による生息密度の推定、データロガーによる5〜9月の1時間毎の水温データの収集を行った。
各年齢の体サイズおよび成熟率は、緯度の増加にともない低下した。しかし、環境変数(水温・生息密度)の方が成長や成熟との相関が強い傾向にあった。各年齢の体サイズは、生息密度と負の相関、水温と正の相関が認められた。雌の初成熟年齢である1+歳の成熟率は、体サイズと正の相関が認められ、成長の良い川では河川残留型雌が多く出現する傾向にあった。雄の初成熟年齢である0+歳の成熟率は、体サイズのほかに、成熟が決定される時期である5月の水温と正の相関が認められた。ロジスティック回帰分析の結果、同じ体サイズであっても、5月の水温が高い川ほど、成熟率が高かった。